信託報酬「0%」、「野村スリーゼロ先進国株式投信」
今晩はインディです。現在、来年の「新NISA」に向けて「投資先」を色々と調査中です。そんな中でちょっと面白い投資商品を見つめました、その名も「野村スリーゼロ先進国株式投信」なんと信託報酬が「0%」(もちろん購入時手数料、信託報酬留保額も0円です)。
正直、結構長く「NISA」をやっていたのですが、あまり聞いたことが無い商品です^^;。
このファンド、中々癖がありそうなのですが、ちょっとおもしろいなと思ったので紹介させていただきます。
まずは結論
いいと思ったところ |
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・信託報酬「0%」はやはり魅力的。ただし期間限定(2030/12/31迄) ・期間終了後も信託報酬「0.11%(税込)」(業界最安値圏)で運用すると謳っている ・隠れコストを調べたところ(0.013%)程度と低水準 ・2024年1月から20年運用で試算したところ、信託報酬が2031年から上がったとしても単独の運用成績に優位性はありそう |
懸念点 |
・信託報酬「0%」は2030年12月31日まで ・「野村証券」、「LINE証券」でしか購入できない ・つみたてNISAのみに対応(新NISAに対応するかはわからない) ・純資産規模が小さい ・最安値圏の同種商品と比較して、極端に運用利益がおおきくなるわけではない。 ・「保有ポイント」や「クレカ積立ポイント」がある他証券会社のほうが総合面で優位 |
総評 |
・この商品単独では魅力がある。 ・ただ総合的に考えれば、やはり様々なポイントが稼げる他証券会社軍配が上がる気がします。 ・「新NISA」への対応、手数料無料期間終了後の信託報酬「0.11%(業界最安値クラス)」が本当なのか等不透明要素が多い。 ・チェックはしておくが相当何か動きがない限りはあえて選択する必要はないという印象。 |
「野村スリーゼロ先進国株式投信」の特徴
「購入時手数料」、「信託報酬」、「信託財産留保額」が「0」
信託報酬「0%」は中々のインパクト
「野村スリーゼロ先進国株式投信」の最大の特徴はなんと言っても信託報酬が「0%」と言うことです。ちょっと詳しく説明すると投資信託の手数料には主に3つ(下表参照)あります。「購入時手数料」、「信託報酬」、「信託財産留保額(売却時手数料)」です。そしてなんと「野村スリーゼロ先進国株式投信」はその3つが全て「\0」なのです(実際にはもう一つ「隠れコスト」というのがありますがそれは後述します)。
実質、手数料が無料、正直他で見たことが無いですね。
手数料種類 | 説明 | 支払い時期 |
購入時手数料 | 商品を購入する際の手数料 | 購入時1回 |
信託報酬 | 管理運用にかかる手数料 | 保有中、保有額に応じて支払い (年1回) |
信託財産留保額 | 商品解約の際の手数料 | 解約時1回 |
「野村スリーゼロ先進国株式投信」の投資情報
さて、そんな「野村スリーゼロ先進国株式投信」ですがどんな商品なのでしょうか?正直手数料「0」だろうと、高リスクで利益が出るかわからない商品だと意味がないですよね。そのあたりを確認してみます。
概要一覧
商品種別 | 投資信託 |
インデックス /アクティブ | インデックス |
連動指数 | MSCI-KOKUSAI指数 (うち先進国が対象) |
購入時手数料 | 0(ノーロード) |
信託報酬(税込) | 0 ※2030/12/31迄 |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.013% |
純資産総額 | 60億円 |
為替ヘッジ | なし |
利回り(3年) | 24.95% |
取り扱い証券会社 | 野村證券/LINE証券 |
連動指数
連動指数は「MSCI-KOKUSAI指数内の先進国(除く日本)が対象」、いわゆるインデックスファンドの種類でいうところの「先進国株式(日本除く)」ですね。日本を除く先進国22か国の企業に幅広く分散投資されており、「全世界株式インデックス」や「全米株式インデックス」と並び、人気の高い指数に連動するファンドのようです。投資先としての安心感は非常に高そうです。
手数料
主要手数料
「スリーゼロ」の名の通り、「購入時手数料」、「信託報酬」、「信託財産留保額(売却時手数料)」共に0、ただしこれは期間限定で「2030年12月31日」迄のようです。ただ以降も業界最安値の「0.11%(税込)」となるようですので、手数料無料期間が終わっても最安値圏内と言っていいでしょう。
実質コスト
さて、そしてここからがややこしいのですが、実は投資信託のコストには上記の3つの手数料以外に気を付けなくてはいけないコストがあります。それがいわゆる「隠れコスト」というものです。実はこの「隠れコスト」に関しては、年度ごとの運用が終わってからでなくては算出できないようで、毎年「運用報告書」に記載されることになります。投資信託で本当に掛かるとなるコストすなわち「実質コスト」は上記3つのコスト+隠れコストということになります。
「野村スリーゼロ先進国株式投信」の隠れコストは2022年12月の運用報告書では「0.013%」となっていますので、現状の実質コストは「0 + 0.013 = 0.013%」となります。
純資産額
純資産額は「60億円」とはっきり言ってしまえば「規模が小さい」です。ちなみに同種のインデックスファンドで最大規模の「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」は「4500億円」程度です。規模が小さいと償還のリスクがあり、手数料も高止まりしやすいので注意が必要ですね。
為替ヘッジ
「為替ヘッジなし」の商品であるため、為替の影響をうけます。「円高」になると価格が下がり、「円安」になると価格が上がります。
利回り
3年間の年平均利回りは「年利24.95%」と非常に高いですが、設定から日がたっておらず短期的な利回りはあてになりません。同じ指標に連動して値動きをする「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の20年間の平均利回りが「年利9.47%」なのでそちらを目安にしたほうがよさそう(それでもちょっと高い気がしますが)。
取扱証券会社
取扱証券会社は「野村証券」、「LINE証券」のみ。どうりで名前をあんまり聞かないわけです。ネット証券最大手(「SBI証券」、「楽天証券」、「マネックス証券」、「松井証券」等)で扱ってないようです)。
その他
現状「つみたてNISA」でしか購入できないようです。「新NISA」の「つみたて枠」でいけるかどうかが重要ですね。
同指数に連動するインデックスファンドとの比較
基本的に、同じ指数に連動するインデックスファンドの場合、値動きはほぼ同じ(完全に同じではない)になるため、「手数料の安さ(運用成績に直結するため)」、「純資産規模(少なすぎると「償還」、ようはつぶれる可能性があるため)」が商品を選ぶ際に重要になります。そこ「同じ指数に連動するインデックスファンド」の中で、手数料が最安値圏のファンドと比較をしてみました。「野村スリーゼロ先進国株式投信」(以下「スリーゼロ」)は手数料無料期間(2030/12/31迄)と以降をそれどれ載せています。
比較対象は「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」(以下「eMAXIS Slim」)、「<購入・換金手数料なし> ニッセイ外国株式インデックスファンド」(以下「ニッセイ」)、「たわらノーロード先進国株式」(以下「たわら」)
ファンド名 | 購入時手数料 | 信託報酬留保額 | 信託報酬 | 実質コスト |
スリーゼロ (無料期間) | 0 | 0 | 0 | 0.013 |
スリーゼロ 2030/12/31~ | 0 | 0 | 0.11 | 0.124 |
eMAXIS Slim | 0 | 0 | 0.1023 | 0.142 |
ニッセイ | 0 | 0 | 0.1023 | 0.137 |
たわら | 0 | 0 | 0.0989 | 0.145 |
こうして比較すると、やはり手数料無料期間は圧倒的に安いですね。まあそれは当たり前ですが重要なのは、手数料無料期間が終わってから、「信託報酬」は業界最安値を目指すということで他と比べてもそう高くなく最安値圏、更にもしも「隠れコスト」が非常に低いため、この隠れコストの低さが2031年以降も続いてくれれば、実質手数料最安ということになります。
試算してみました
さて、では実際にで「スリーゼロ」と同種最安値の「ニッセイ」で運用成績がどうなるか試算してみたいと思います。条件は下記の通り「2030年12月31日」までは信託報酬「0%」、それ以降は「0.11%」で運用した場合と、現在業界、最安値のファンド「ニッセイ」で運用した場合どちらが、運用成績がよくなるのか計算してみました。
積立開始 | 2024年1月 |
投資期間 | 20年 |
年利回り | 5% |
備考 | 「スリーゼロ」に関して2024~2030までは実質コスト「0.013%」、 以降は「0.123%」で計算 「ニッセイ」に関しては実質コスト「0.137%」で計算 |
①月々10万円 年間120万円×積立期間5年 で「600万円」積立
スリーゼロ | ニッセイ | |
5年 | 6,959,000円 | 6,934,000円 |
10年 | 8,839,000円 | 8,792,000円 |
15年 | 11,216,000円 | 11,148,000円 |
20年 | 14,231,000円 | 14,136,000円 |
20年間運用で「10万円弱」、スリーゼロが多くなります。
②月々5万円 年間60万円×積立期間10年 で「600万円」積立
ニッセイ | スリーゼロ | ニッセイ |
5年 | 3,479,000円 | 3,467,000円 |
10年 | 7,889,000円 | 7,863,000円 |
15年 | 10,010,000円 | 9,970,000円 |
20年 | 12,700,000円 | 12,642,000円 |
20年間運用で、「6万円弱」スリーゼロが多くなります。
思った以上に大した差になりませんでした
正直、もう少し差がつくかと思っていましたが、そんなことはありませんでした^^;。
シミュレーション通りに運用できたとして「パターン①」の時「800万強」の利益を「10万」押し上げてくれるわけですから「1%強」程度ですね。うーん、どうなんでしょうね。
まとめ
今回は、色々投資商品を探していて、少し気になった「野村スリーゼロ先進国株式投信」について色々調べてみました。
この商品単独では魅力的ですが購入可能な証券会社が「野村証券」・「LINE証券」だけというのが大きなネックです。
総合的に考えれば、「保有ポイント」や「クレカ積立ポイント」でポイントが稼げる他証券会社で「eMAXIS Slim」等を運用したほうが優位となる可能性が高いです。
また「新NISA」に対応するかがわからない事、本当に手数料無料期間終了後信託報酬「0.11%(業界最安値クラス)」で運用してくれるかがわからない等不透明要素が多いのも懸念点。
今のところチェックはしておくけど、相当何か動きがない限りはあえて選択する必要はないといったところです。
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